医療技術の発展によって、人類は歴史上類を見ないほど長い寿命を手に入れました。太古の昔から不老長寿を夢見続けてきた私たちにとって、それ自体は喜ばしいニュースだと言ってよいでしょう。しかし、寿命の伸長に伴って「老後」の時間が増えたことにより、医療と健康にまつわるさまざまな問題が顕在化してきているのも事実です。たとえば現在、アメリカのシニア世代は1人当たり年間平均7人の医師の診察を受け、14通もの処方箋を受け取っているといわれています。医療関連サービスの内容は必要以上に複雑化し、平均的な外科手術患者は27もの異なる医療関連機関の診察を受けているそうです。こうした状況から生じる医療費の増大が、今や深刻な社会問題となりつつあるのです。
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